導入事例 財団法人 田方保健医療対策協会 伊豆保健医療センター様
〒410-2315
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http://www2.ocn.ne.jp/~tagatahp/
小さくてもきらりと光る病院が取り組むステップアップ方式による院内のIT化
将来の電子カルテシステム運用に向けた段階的なシステム導入
財団法人田方保健医療対策協会は、静岡県田方地域にある2市1町1医師会を経営母体として1981年に設立。以来地域の保健、医療、介護を担ってきました。その中心施設となるのが、病床数97床の伊豆保健医療センターです。半自治体立の医療機関として、公共性と経済性をともに考慮した保健医療連携を推進する同センターでは、将来の電子カルテシステム運用を見据え、段階的に院内のIT化を進めていくために、HOPE/EGMAIN-NXを導入。2006年4月からオーダリングシステムを稼働させました。
[ 2007年2月2日掲載 ]
施設概要
- 設立: 1982年10月
- 病床数: 97床
- 診療科目: 内科、外科、整形外科、泌尿器科、放射線科、脳神経外科、呼吸器科
導入の背景
ナショナルスタンダードとして院内のIT化にも注力
「地方の小さな病院であっても、医療の質は大病院と同等でなければならない」。松本俊彦病院長は、患者さんの権利という側面だけでなく、
経営の観点からも、この考え方を重視しています。「むしろ小さな施設だからこそ、良質な保健医療を提供しなければ、患者さんに見向きもされなくなってしまいます」と松本病院長は強調しています。
こうした考えから、伊豆保健医療センターでは、“小さくてもきらりと光る病院”をモットーに掲げ、保健医療におけるナショナルスタンダードの実践に取り組んでいます。その一環として、職員にナショナルスタンダードとは何かを知ってもらうために財団法人日本医療機能評価機構の認定を受けるなど、徹底した取り組みを行っています。
同センターが進める院内のIT化も、ナショナルスタンダードをめざしたものだと言えます。質の高い医療を提供するためには、大学病院などの大規模病院を中心に普及が進んでいるオーダリングシステムを導入することが必要だと松本病院長は考えました。そこで、医事会計システムの更新に合わせて、オーダリングシステムの導入を決定しました。
しかし、電子カルテシステムの導入はまだ時期尚早であるとの判断から、見送られることになりました。その理由は電子カルテシステムの普及がまだ進んでいないこと、そして、スタッフの操作習得に時間や負担をかけたくないという考えがあったからです。日常の診療業務を行いながら、操作訓練のために時間を確保することは非常に難しいものがあります。オーダリングシステムだけでなく、電子カルテシステムも導入することは、診療にも影響が出るのではないかと懸念されました。オーダリングシステムの導入に際し、2005年5月に設置された次世代コンピュータ機種選定プロジェクト、通称「電脳委員会」の委員長を務める外科の小野憲科長は、「IT化に抵抗を感じるスタッフも多く、そのようなスタッフに少しずつ慣れてもらう意味からも、段階的にIT化を進めることにして、まずはオーダリングシステムを導入することにしました」と述べています。
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松本 俊彦病院長 |
外科 小野 憲科長 |
医療情報管理部 桑沢 啓治部長 |
看護部 林 淳子主任 |
導入の経緯
ノンカスタマイズで、拡張性が高いシステムを選定

ナショナルスタンダードをめざす伊豆保健医療センターでは、オーダリングシステムの選定に当たり、カスタマイズをしなくても運用可能であることを重視しました。これは、シェアの高いシステムを導入し、そのシステムに病院の運用を合わせることで、病院も標準化されるという発想に基づいています。電脳委員会のメンバーであり、5年ほど前から、同センターのIT化に向けて情報収集を行ってきた医療情報管理部の桑沢啓治部長は、「部門システムとオーダリングシステムに異なるベンダーを採用するマルチベンダー方式や、カスタマイズ可能なシステムも検討しました。しかし、大規模病院と異なる当院では、カスタマイズせずに運用する方が良いと考えました」と説明しています。マンパワーやコストを考慮しても、中堅病院にはパッケージ化されたシステムの方が運用しやすいと判断したのです。
また、同センターでは、今回は電子カルテシステムの採用を見送ったものの、将来的には導入することにしています。そのときに、蓄積したデータや運用ルールを生かせなかったり、新しいシステムに更新してコストや業務負担を増やすことのないよう、スムーズに移行できる、拡張性の高いオーダリングシステムであることも重視しました。
電子カルテシステムの導入を最終目標に、段階的な院内のIT化を可能にする拡張性の高さと、カスタマイズせずに使用できる、シェアの高いスタンダードなオーダリングシステムであること。その条件を満たす製品として選択されたのが、HOPE/EGMAIN-NXでした。マルチベンダー方式の場合、システム間の連携に障害が起こる可能性があったり、バージョンアップごとにベンダー間での調整作業が必要になってしまいます。しかし、部門システムを含めパッケージ化されたシステムであるHOPE/EGMAIN-NXでは、問題なく運用できます。段階的なIT化に取り組む同センターにとって最適なシステムと言えます。
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外来診察室(左)と病棟のスタッフステーション(右)、救急外来(上)での運用。林看護主任によると、実際の運用に即して細かなマニュアルを作成しておくと、スタッフの指導などに役立つとのことです。 |
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導入の効果
受け付けから会計までの時間短縮と 院内の混雑緩和に成果
伊豆保健医療センターにとって、オーダリングシステム導入以前に最も期待されていたメリットの1つが、患者さんの待ち時間の短縮でした。医療はサービス業と言い切る松本病院長の下、同センターではこれまで、ご意見箱で患者さんの声を集め、接遇面などの改善に取り組んできました。オーダリングシステム導入に先駆けて実施した、30分単位で区切った時間枠内で次の診察を予約するという“時間枠診療”もその取り組みの代表的なものでした。この方法により、かつては早朝5時ごろから患者さんが並び始め、玄関の開錠と同時に受け付けに殺到していたのですが、来院時間が分散され、混雑は解消されました。その後、オーダリングシステムが導入されたことにより、会計の待ち時間が大幅に短縮され、診療後の患者さんが会計のロビーで長時間待たされる姿は皆無となりました。
オーダリングシステムの導入は、受け付けから会計までの在院時間の短縮と混雑の解消という、患者サービスの向上を生み出しました。また、患者さんの流れがスムーズになったことで、かつては問題となっていた駐車場不足が解消されるなど、予想外の効果が表れています。
一方で、診療面においてもメリットが出ています。オーダリングシステム導入以前は、指示伝票の作成漏れなどがまれにありましたが、現在は、確実なオーダーと実施が行えています。また、「薬剤の処方では、重複投与などの警告が出るため、安全性が向上しています」と小野科長は述べています。
オーダリングシステムの導入は看護業務にもメリットを生んでいます。これまで看護師が行ってきた伝票の作成や予約の記入といった業務がなくなりました。電脳委員会のメンバーの林淳子看護主任は、「診療のための環境整備や、患者さんが診察を受ける前の補佐業務など、看護師としての役割に専念できる時間が増えています」と話しています。
将来の展望
効率的な入力機能などのシステムの改善にも期待
HOPE/EGMAIN-NX は、2006年4月の稼働以来、トラブルもなく安定して稼働しており、その点からもスタッフから高く評価されています。そして、スタッフは、今後より良い診療環境を実現するためにも、システムの操作性や機能のさらなる向上を期待しています。松本病院長は、「表示文字のサイズを大きくしたり、確定後のオーダー変更を容易にできるようにしてほしい」と要望しています。また、小野科長は、「より安定したレスポンスで運用できるよう取り組んでいただきたい」と述べています。
そのほかの課題として、医師の入力作業が増えたため、1患者当たりの診察時間が、2分程度長くなったことの解決が挙げられます。今後システムが改良され、医師の診療を妨げないスムーズな診療ができるような操作性が実現するよう、スタッフは期待しています。こうした導入から運用までの経験を踏まえて、これから院内のIT化を進める中堅病院に向けた導入のアドバイスとして、松本病院長は、次のように述べています。
「最も重要なポイントは導入の目的を明確にすることです。目的を明らかにした上で、自分たちの施設に必要なシステムに序列をつけ、優先順位の高いものから段階的に導入するのが、最も現実的な手法です」
また、松本病院長は、経営者の視点から電子カルテシステムの経済効果についても言及しています。「医療の質の向上や患者サービス、長期的な経済効果に貢献することは間違いありませんが、直近の経済効果が見えにくいことが問題です。今年度の診療報酬改定では-3.16 %の引き下げとなる一方、電子化加算が設けられており、IT化のメリットはあるとされています。しかし、より明確な経済効果が表れてこなければ、普及は進みません。IT化のメリットが数字で示されれば、導入に前向きになる施設が増えてくると思います」と述べ、政策も含めた国全体としての医療のIT化について期待を示しました。
電子カルテシステム導入でさらなる医療サービスの充実を
操作性の改善などの課題はあるものの、医療のIT化はもはや不可避だと松本病院長は考えており、伊豆保健医療センターでは段階的な導入を進めてきました。今後は、電子カルテシステムの導入が次のステップとして控えています。同センターでは、保健所からの勧告もあり、オーダリングシステム導入と同時期に、泌尿器科において試験的に紙カルテの一冊化を試みましたが、誰かが使っているとほかのスタッフがカルテを見ることができず、運用が難しいと判断しました。チーム医療が当たり前の時代、カルテの一元化と情報共有は今後の最重要課題となっています。そして、それを解決するのが電子カルテシステムだと言えるでしょう。
保健、医療、介護の総合的なサービスの提供に重点を置く同センターが、“小さくてもきらりと光る病院”として、ナショナルスタンダードの医療を提供するためにも、これからもIT化を推進していくことが期待されます。( 伊豆保健医療センターでのHOPE/EGMAIN-NXの導入については、ソレキア 株式会社様のご協力をいただきました)
[図を拡大する]
伊豆保険医療センターのHOPE/EGMAIN-NXシステム構成図
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