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導入事例 医療法人社団三思会  東邦病院様

IT化に取り組むことで運用を見直し
業務の簡略化と医療安全の徹底を実施


5000項目の要求書を作成し、自院の運用に合ったシステムを選考
東邦病院は、群馬県の東部、栃木県に接するみどり市の国道50号線沿いにあります。一般病床180床、療養病床178床、介護100床を備え、地域のニーズに合ったケアミックス型の医療を展開するとともに、人間ドック8床、透析台数89台を設けるなどの特色も打ち出しています。同院では、2006年2月にオーダリングシステムHOPE/EGMAIN-FXを中心にして、医事会計システムなどを導入。院内のIT化を図り、予約診療、フィルムレス運用などによる診療業務の改善を推し進めています。



 導入の背景  | 導入の経緯 | 導入の効果 | 将来の展望


導入の背景

運用の見直しにより業務の標準化を実現

  人口構造が少子高齢化する中、患者ニーズに応えるため、ケアミックス型の診療体制をとる病院は数多くあります。群馬県の東部に位置する東邦病院も、療養・介護の病床を抱え、関連施設として老人保健施設を持つなど、急性期に対応しつつ、療養、介護までを継続的にカバーする体制を整えています。また、開放型病床5床を確保し、地域の診療所との連携も図っています。
  多面的な機能を持つケアミックス型の病院では、その運用も必然的に複雑化してきます。その複雑化された運用を系統立てることは、業務の効率化を図る上での大切なことです。同院が、OA委員会をオーダリングシステム導入のための組織として医療情報システム委員会と改称したのは2004年10月ですが、システム導入に向けた運用の全体的な見直しは、前年の7月ごろから、すでに始められていました。
  運用を改善することにより、業務の流れが明確化され、医師にとってもコ・メディカル・スタッフにとっても、業務の効率化が図られ、薬剤投与などでの安全性も高まりました。この運用見直しの背景には、標準的な運用を確立しておくことで、将来の電子カルテシステム導入時に、スムーズに移行が行われるようにしたいという意向もあったからでした。



導入の経緯

5000項目の要求書に基づきシステムを先行


佐野 潔病院長
竹内 宏明副病院長
情報システム課
下山 克典課長

  佐野潔病院長と3名の副病院長、各部門の代表で構成された医療情報システム委員会により、2004年夏に、導入に向けた基本構想が策定されました。その後、オーダ種ごとのワーキンググループなどの体制を整え、仕様書を作り上げていきました。
  東邦病院では、オーダリングシステムを先に導入し、電子カルテシステムは将来的に導入するという段階的なIT化を図っていくことを、この基本構想策定の時点で決定しました。佐野病院長はこの理由について、「コスト面で病院経営に負担をかけないことを優先しました。また、性急すぎるIT化は、スタッフの負担にもなり、診療業務に影響を及ぼす可能性があることも考慮しました」と説明しています。
  オーダリングシステムの選定に際しては、同時期に導入する部門システムと合わせ、5000項目に及ぶ要求書を作成し、メーカーの対応を見て判断することになりました。要求書に記載された項目は、入力操作や統計などのアウトプットに関するもの、ネットワークのレスポンスなど、細部にわたるもので、それによって客観的な判断を下して、採用されたシステムが、HOPE/EGMAIN-FXでした。当時、大学病院などの連携先の医療機関がほかのオーダリングシステムを使用していたため、システム選定に当たっては同一の運用環境を構築できるという点からも、ほかの施設と同じにした方がよいとの意見がありました。しかし、竹内宏明副病院長は、「やはり自分のところの運用を最優先すべきだと考えました。他施設と同じオーダリングシステムを導入することで、院内での日常業務もスムーズに流れなくなってしまっては、地域医療連携もうまくいかなくなってしまいます」と、運用の大切さを強調しています。
  その後、マスタ委員会が組織され、各部門からの要望を集め、マスタをまとめ上げる作業が行われました。各々の部門や診療科ごとにマスタへの思い入れがあり、それを統一していくのは、困難な作業となりました。新システムが稼働し始めた現在でも、マスタの見直しは続けられていますが、実稼働後に修正する方が、コンセンサスを得やすくなり、速やかな対応がとられています。



 
外来の診察室には、オーダリングシステムの端末のほか、PACSのビューワも設置されています。整形外科には、2Mの高精細モニタが2面、そのほかの診療科には2Mの高精細モニタが1面用意されています。 病棟のスタッフステーションでの運用の様子。ノート型端末は、カートに載せて病室に運び、バイタルやオーダの実施入力を行います(左)。実施入力はバーコード入力も行われています(右)。発生源入力により、医療安全面からも大きな効果が出ています。


導入の効果

転記や集計作業がなくなり業務の効率化を達成

  院内のIT化を図る上で、目標として掲げられていたのは、業務の簡略化と医療事故の削減だったと、佐野病院長は語っています。導入から1年以上が経過した現在、その効果が表れてきています。
  島崎すえ子看護部長は、「オーダリングシステム、看護支援システムの導入により、業務の標準化が図られ、業務の効率化にもつながっています」と現状について述べています。従来多かった一度紙に書いたことを改めて看護記録に転記するといったことはなくなり、直接オーダリングシステムや看護支援システムに入力することができるようになったことで、ベッドサイドでのケアを充実させられるようになりました。こうした時間の有効活用は、看護業務量を実測したデータからも証明されています。また、毎日の看護業務として、各病棟日誌の中から当日の入退院患者数や看護職員数を集計し、その確認をする業務がありましたが、それもシステム上で計算が行えるようになり本来の管理者としての職務に専念できるようになりました。
  そのほか、看護業務におけるメリットとして、植木富佐子看護科長は、例として専門外来での採血を挙げています。
  「以前は、約1週間前にカルテを出してもらい、すべてに目を通して、採血の指示があれば伝票に書き写し、エンボスを押して検査部へ持って行き、検査部がスピッツを準備するという手順が必要でした。今は看護師がオーダのチェックをする必要がないので、その時間を違う業務に当てられますし、医事課のほうでカルテがなくて事務処理に困るということもなくなりました」
  このように業務の効率化については、管理者はもちろん、患者さんをケアする現場の看護師にとっても、十分な効果が得られています。
  もう1つの目標であった医療安全の面でも、インシデント情報を収集しやすくなり、それをリアルタイムに見ることも、検索して取り出すことも可能になった点が評価されています。また、インシデントの集計が自動化されたため、作業の効率化にもつながりました。「データ収集と情報の集計を行った後に課題を設定し、その課題の担当者や進捗状況、どのような対応で課題を解消したかなど、対応が完了するところまでトータルに管理できるようになれば、さらに医療安全に効果が得られるようになると思います」と情報システム課の下山克典課長は述べています。
  さらに、藤倉八江子看護係長は、「紙のオーダ伝票では、オーダ内容が判読しにくいものがあり、ミスにつながるおそれがありましたが、オーダリングシステムを導入したことで、確実に指示の内容がわかるようになりました」と述べています。今泉よし子看護科長も「システム化されたことで日常の業務に安心感が生まれた点と、認証システムの導入で誤認が大幅に減ったのが、メリットだと思います」と話しており、安全面での質の向上は、現場においても実感されています。


島崎 すえ子
看護部長
植木 富佐子
看護科長
藤倉 八江子
看護係長
今泉よし子
看護科長



会計待ち時間の短縮でアンケートの苦情も減少

自動再来受付機。予約診療を行っている東邦病院では、自動再来受付機で受付後、診察、会計までデータが流れていくため、外来患者さんの在院時間の短縮化につながっています。

  業務の効率化は、会計の待ち時間短縮にもつながりました。外来の診療待ち時間については、端末の操作や運用にも慣れていなかったせいか導入直後はむしろ長くなってしまいましたが、完全予約制を導入したこともあり、現在では待ち時間に関する苦情は大幅に減少しています。
  一方、診療面では、すべての部門で情報が共有され、外来中に病棟の状態を見ることもできるようになりました。竹内副病院長は「時間のロスがなくなり、患者に対する医療上のサービス向上につながっています」と感想を述べています。同院では、オーダリングシステムとともにPACSを導入してフィルムレス化を図り、画像データも診察室の高精細モニタに表示しながら患者に説明することもできるようになりました。診断画像や検査値などをその場でプリントして渡すこともでき、患者さんからも好評を得ています。


将来の展望

電子カルテシステムを導入し目標の実現をさらに加速

  レセプトの電算処理にも取り組み、オンライン請求への対応も図っている東邦病院の今後のシステム展開は、電子カルテシステムの導入になります。スタッフのオーダリングシステム端末の操作の習熟度も上がり、運用環境も整ってきたことから、コストの問題がクリアされれば導入したいと佐野病院長は考えています。また、IT化によって得られたデータを分析し、経営指標を設けるなど、経営改善に活用することも、これから取り組んでいく大きなテーマです。下山課長は、「統計データの作成については、今後精度を検証する作業を行っていきたいです」と述べています。精度の高いデータが出せれば、その有用性は非常に高くなると期待が寄せられています。


星野 尚美
看護係長

  一方、星野尚美看護係長は、「患者さんや家族の方の声を聞き、看護計画に反映させるという意味で、出力した同意書にサインをしてもらうというのではなく、ネットワークの中に医師や看護師と一緒に入り、患者さん自身が治療や看護の計画に参加している実感を得られるようにしていきたい」と、患者さんに近い立場から、システムの進化への希望を話しています。
  明確な目標を立て、その実現に向けて、運用を見直しIT化を進めてきた同院。オーダリングシステム導入を成功させたノウハウは、次のステップである電子カルテシステムの導入にも生かされることでしょう。


東邦病院のHOPE/EGMAIN-FXシステム構成図

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施設概要

医療法人社団三思会  東邦病院

  • 所在地: 〒379-2311 群馬県みどり市笠懸町阿左美1155
  • TEL: 0277-76-6311
  • FAX: 0277-76-6763
  • 病床数: 一般病床180床、療養病床178床、介護100床、人間ドック8床、透析台数89台
  • URL:http://www.toho-hp.jp/

本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。