導入事例 医療法人社団うすい会 高陽ニュータウン病院様
施設のIT化の中核的存在として最優先で電子カルテシステムを導入
パッケージの採用により低コストで職員の負担を抑えた導入を実現
広島市の北部、周辺人口およそ8万人のベッドタウンに位置する高陽ニュータウン病院は、一般病床96床、医療療養病床60床を持つ、ケアミックス型病院です。「地域の人の、個々の状況に適した、最良の保健・医療・福祉サービスを提供する」という理念に基づき、老人保健施設や訪問看護ステーションなどを運営する医療法人社団うすい会の中心病院として機能してきました。2006年11月、「新しい技術による医療を地域の皆さんに提供していく」という方針の一環として、HOPE/EGMAIN-NXを導入。診療の場で活用しています。
導入の背景
早くから導入準備を進め10施設以上の見学を実施
高陽ニュータウン病院が院内のIT化に取り組むことになった動機は、2つありました。まず、安全安心な、先端的医療を地域に提供するということです。これはIT化を図ることで、グループの老人保健施設、訪問看護・介護ステーション、地域包括支援センター、特別養護老人ホームなどの各施設と連携し、業務の内容が把握できるようにするとともに、個々の患者やスタッフの状態が見えるようにするという将来展望を見据えたものです。
もう1つの動機は、2006年度の診療報酬改定で電子化加算が設けられたことや、2011年度までにすべてのレセプトを原則オンライン化するというIT新改革戦略が策定されたことから、碓井静照理事長がIT化は必然的な時代の流れであると判断したことです。
同院が電子カルテシステムの導入を決定したのは、2006年度のことでしたが、すでに1999年ごろから検討を開始していました。当時先進的に電子カルテシステムを導入していた医療機関など、10施設以上の見学を行っています。また、碓井理事長が広島大学病院医療情報部の石川澄教授らとともに、2001年に立ち上げた中国診療情報管理研究会においても、電子カルテシステムを積極的にテーマとして取り上げ、さらに展示会への参加や院内でシステムのデモンストレーションを開催するなど、情報収集を続けてきました。碓井理事長の言葉を受け、診療情報管理室を中心に、看護部など他部署のスタッフからの協力を受けながら、電子カルテシステム導入に向けての素地を醸成していきました。
そして2003年11月に、院長、副院長をはじめ、各部門長をメンバーとする医療情報システム委員会を立ち上げました。「当時は大規模病院での電子カルテシステム導入が中心で、当院のような規模の施設ではまだ普及しておらず、先の話だと考えていました」と、診療情報管理室の有吉澄江副室長は当時の状況について説明しています。
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碓井 静照理事長 |
佐々木哲子 総看護師長 |
有吉 澄江副室長 診療情報管理室 |
導入の経緯
低コストかつスムーズなデータ移行を重視
IT化を進めたいという考えがある一方で、コストや習熟度の面から、院内業務をすべてIT化することに不安を持つ職員が多くいました。そこで、高陽ニュータウン病院では、院内のIT化の中心的な存在となる電子カルテシステムを先行して導入し、運用しながら部門システムを段階的に導入していくことにしました。その上で医療施設や展示会などで見た電子カルテシステムを参考に、システムの選考を行い、HOPE/EGMAIN-NXの導入が決まりました。この理由として、同院の規模に見合ったパッケージ製品であったことが挙げられます。佐々木哲子総看護師長は、「基本となるシステムを導入する以上、過不足ない機能を持っていることと、コストも考慮して、パッケージシステムを採用しました」と述べています。有吉副室長も、「見学先には、カスタマイズされたシステムを使用している病院が多かったのですが、当院の場合、そのようなシステムでは、導入前の準備作業や運用で負担がかかると思いました。そこで、将来的なシステム拡張にも対応できる基本的な構成を持つパッケージシステムが良いと判断しました」と説明しています。
また、当時使用していた医事システムが富士通の製品だったことも、HOPE/EGMAIN-NXの採用理由となりました。医事システムは移行するデータ量が最も多いことから、低コストかつスムーズに更新できることが考慮されました。
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外来診察室における運用。金尾浩幸医師は、患者さんへの説明に有効利用しています。電子カルテシステムへの評価については、「工夫により操作性は向上していますが、非常勤の医師は慣れるのに時間がかかりました」と述べています。また、今後の期待として検索機能の充実を挙げています。 |
導入メリットを明確にしてスタッフのモチベーションを向上
高陽ニュータウン病院では、電子カルテシステム導入前に、看護、介護部門のスタッフへのパソコンの使用経験や院内のIT化などについてのアンケートを行いました。その結果、入力作業への不安を抱くスタッフが多く、実際にパソコンを触ったことがないという回答が1割程度あるといったことがわかりました。そこで看護部では、導入の4か月前から独自で勉強会を開き、その中で話し合いの場を設けました。この話し合いを通して、徐々に増えてきた患者さんからの情報開示の要求に対しても、電子カルテシステムで、業務の流れや実施の確認、責任の所在などが明確になり、適切に対応できるようになるのではないかなど、メリットを確認し、導入に向け意識を高めていきました。
また、常時6台のパソコンが利用できる訓練室を設け、操作教育を受けた数人のリーダーがほかのスタッフに説明するという方法で、約2か月かけて入力操作の訓練が行われました。その後、全体リハーサルを夜間に3回、それとは別に各部門内での数回のミニリハーサルをするなどの準備を進め、2006年11月の実稼働日を迎えました。アンケート結果などから、導入を案じていた佐々木総看護師長は、「見学先の施設で、年齢の高いスタッフの方から、慣れるのに時間はかかるけれども大丈夫ですよ、との声を聞いていましたが、その言葉どおり無事に稼働させることができました」と、当時を振り返っています。
導入の効果
リアルタイムな情報把握により経営分析に効果を発揮

病棟のナースステーションでの運用。稼働当初は、慣れていないことから業務に影響が出ることについて心配されましたが、現在では職員の操作の習熟度が上がり、スムーズな運用ができるようになりました。
HOPE/EGMAIN-NX導入によるメリットについて、消化器科の金尾浩幸医師は、「モニタ上で患者さんの診療情報がリアルタイムに把握できることです」と述べています。また、碓井理事長は、経営者の立場から、「診療面での情報だけでなく、各部門のスタッフの業務や、外来患者数、空床状況、診療科ごとの入院患者数、さらに、診療情報管理室との共有BOXを設けることにより、月ごとの保険点数など、経営管理に関する情報もすぐに見られるというのは、病院経営者にとっては大きなメリットです」と評価しています。
佐々木総看護師長は、「導入に伴い、業務内容を整理できたことで、看護師としての職務の範囲が明確化されました。また、手書きのときには読みにくかった医師による指示が、はっきり読めるようになり、内容が理解できるようになりました」と述べています。カルテの内容が読みやすいことは、オーダを受ける側だけでなく、情報開示を求める患者さんに対して、よりわかりやすく診療情報を提供できるという点で、サービスの向上にもつながっています。
このほか、電子カルテシステム導入により注射などのインシデントが減少傾向にあることが安全面での効果として挙げられます。ただし、稼働から半年が経った段階のため、ようやく、スタッフが操作に慣れてきたところであり、安全面の正確な評価はまだこれからの状況です。
待ち時間解消のためにも部門システムとの連携が必要

血管造影室。年間数百例の心臓カテーテル検査やインターベンションが行われています。アンギオ装置が設置された室内にも電子カルテシステムの端末が置かれ、いつでも患者さんの情報を参照できるようになっています。
患者サービスという点では、医師や看護師が画面ばかり見て患者さんとのコミュニケーション不足になることが心配されましたが、そのような声はほとんど寄せられていません。
HOPE/EGMAIN-NX導入後に行ったアンケートでは、診療後の待ち時間の長さを指摘する回答が最も多く寄せられました。現状では薬局のシステムとHOPE/EGMAIN-NXとが連携していないため、再度薬剤システムの端末に処方情報を入力し直さなければなりません。「システム連携が充実した病院で、待ち時間が短かったという経験をされた患者さんは、特に不満を感じるのでしょう」と有吉副室長は話しており、将来的な改善点として、各部門との連携を挙げています。
将来の展望
システムの拡充がさらなるメリットを生むカギに
システム間の連携のほか、今後の改善点として、医療情報システム委員会の中心的な存在である立石博信副院長は、電子カルテシステム端末の画面設定にも言及しています。例として、処方や注射のオーダを出した後、患者の状況に応じて薬剤の変更をしようとすると、“変更”ではなく“訂正”の扱いになってしまうことを挙げ、言葉は非常に大事なので、見直してほしいと要望しています。
また、マスタについても課題が残されています。特に、訪問看護ステーションの看護師が実施する訪問点滴注射などの在宅関連マスタに課題があります。有吉副室長は、「全マスタを通じてマスタ登録を点検する担当者が決められていなかったことも一因と考えられ、稼働後に修正をする必要が出てきたのは反省材料です。時間と人手の足りない中での導入となりましたので、有効的な運用になるように調整しています」と述べています。
院内のIT化のためにその中核となるシステムとして、HOPE/EGMAIN-NXを稼働させ始めた高陽ニュータウン病院。部門システムに課題を残しながらも、フロッピーディスクなどの電子媒体を介しての情報の共有化を図るなど、より大きな成果を生む努力をしています。今後は、疾病統計や包括会計の原価計算などの経営指標へのデータの二次利用、そして最終目標である関連各施設とのシステム連携に向け、同院は着実に歩んでいます。
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施設概要
医療法人社団うすい会 高陽ニュータウン病院
- 所在地: 〒739-1742 広島県広島市安佐北区亀崎4-7-1
- TEL: 082-843-1211
- FAX: 082-843-3333
- 病床数: 一般病床96床、医療療養病床60床
- URL:http://www.members.aol.com/usui33/
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