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導入事例 医療法人田中会 西尾病院様

将来の電子カルテシステム導入をめざして
段階的に院内のIT化を推進


各部門で業務の標準化が進むとともに、外来での在院時間短縮を実現
愛知県西尾市は、三河湾に接した、お茶や花卉などの農業を産業の中心とする地域です。1895年に診療所として開院した西尾病院は、病床数199床の中規模の病院として、30歳と60歳前後にそれぞれ二峰性のピークを有する約10万人の地域住民の健康、福祉の維持増進に貢献してきました。およそ120年にわたり地域医療で果たしてきた役割を継続するべく、介護関連施設を充実させたほか、オーダリングシステムHOPE/EGMAIN-NXを導入するなど、院内のIT化にも積極的に取り組んでいます。



 導入の背景  | 導入の経緯 | 導入の効果 | 将来の展望


導入の背景

スタッフの負担軽減のためオーダリングシステムを導入

 

田中正規院長
岡本泰宜副院長

歴史ある西尾病院を、代々かかりつけの病院としてきた方々も少なくありません。高齢の患者さんが多いことから、現在は199床のうち109床を療養型とし、老健施設も併設するなど、まごころの医療とサービスの提供を理念として掲げ、地域のニーズに応えてきました。救急指定を受けており、急性期医療にも力を注ぐ一方、近隣の急性期病院との病病連携も重視し、慢性期に入った患者さんを受け入れています。
  田中正規院長は、医療のIT化について、発生源入力による医療安全の向上、保険請求漏れの防止、経営指標に用いる統計的データの出力などを、期待する項目として挙げています。また、岡本泰宜副院長は、患者さんへの高度医療の提供と、老健施設や訪問看護、特別養護老人ホームなど医療と介護を包括的なサービスとして考えたとき、医療のIT化は、必須のインフラだと述べています。「患者さんの数が増えることによって、紙カルテの運用はだんだん難しくなってくるのではないかとも思っています」と、田中院長は述べており、電子カルテシステムの導入をIT化の目標として掲げています。しかし、費用対効果の測定が難しいという考えから、システム導入に当たっては、経営を圧迫しないかどうかを検討しました。その上で、導入時にスタッフにかかる業務の負荷を分散させる目的から、まずはオーダリングシステムを導入するという選択がなされました。



導入の経緯

IT化を図ることで業務の標準化を推進


  田中院長は、以前から韓国のソウルに赴き、医療機関のIT化の現状などの視察を行ってきましたが、西尾病院で具体的にシステム導入が検討され始めたのは、2002年ごろでした。しかし当時は、予算面などから、電子カルテシステムはまだ時期尚早として、導入は見送られています。
  2006年に入り、医事システムの更新を迎えた際、イニシャルコストや過去のサポートの実績などから、医療事務システムHOPE/SX-Jの導入が決められました。そして、同年8月のHOPE/SX-Jの稼働に引き続いて、オーダリングシステム導入に向けた準備作業がスタートしました。機種は医事システムとの相性も考慮してHOPE/EGMAIN-NXに決められ、導入後の運用を策定したり、マスタ整備を行うための準備委員会も、このとき立ち上げられました。

技術部
吉見多加義部長
 
宮地正浩事務長

  委員会では、原則としてカスタマイズは行わずにシステムを運用する方針で検討を進めていきました。準備委員会の中で、導入準備に尽力した技術部の吉見多加義部長は、「コスト的な制限だけでなく運用を改めて見直すことで、業務の標準化を図るのも、パッケージシステム採用の目的の1つでした」と説明しています。 準備委員会は、医師、薬局、検査、給食部門のほか、看護部、医事課から1~2名の代表者を選出し、委員長である岡本副院長と、吉見部長、宮地正浩事務長を加えた約10名で組織されました。

前列左から、看護部・新家節子次長、富田洋子部長、尊田あずさ次長。後列左から検査室・田中淳副主任、医事課・加藤和恵氏、薬剤部・牧野篤薬剤師。

各部署の意見を準備委員会のメンバーが取りまとめ、週1回の会合に持ち寄り、検討を重ねていきました。当初は部署ごとに温度差があったようですが、期日が近づいてくるにつれ、自然と足並みもそろっていきました。




 

導入時の混乱を避けるためまずは病棟だけで稼働


医事課
鈴木邦之主任

  導入準備作業の中でも重要な各スタッフへの操作教育は、訓練場所を設置し、常時開放して個々に空いた時間を利用して覚えられるように工夫しました。そして6か月弱の準備期間を経た2007年3月初めに、病棟だけでオーダリングシステムの運用を開始し、翌4月半ばに外来でも稼働させました。宮地事務長は、「病棟での稼働を先行させたことで、操作や運用に慣れることができました。そのため外来での稼働開始時の混乱を避けることができました」と述べています。

  しかし、外来への導入時にまったく問題が出なかったわけではありませんでした。一部で操作や入力に手間どることがあり、「操作を習熟しているスタッフが、応援として呼び出されてしまい、本来の業務に支障を来しかねない状況でした」と、医事課の鈴木邦之主任は当時を振り返ります。外来での看護業務にかかわるオーダは、今回のシステム導入に組み込まれていなかったため、看護師は操作訓練を行っていませんでした。

外来診察室。オーダリングシステム稼働当初は、診療時間が導入前に比べ長くなっていましたが、医師の操作の習熟度が上がった現在 は、以前とほぼ同じ時間になりました。

これについて吉見部長は、「外来で最も医師の近くにいる看護師にも、フォローアップの意味で、操作を覚えておいてもらえばよかったかもしれません」と述べています。ただし、初期の混乱は徐々に解消し、2週間ほどで通常の状態に戻ることができました。

導入の効果

会計待ち時間の短縮など業務の迅速化を実現

  多くのスタッフが、オーダリングシステムの導入が生み出した最大の効果だと認識しているのは、会計待ち時間の短縮です。これにより、外来患者さんが帰るまでの在院時間も短くなっています。医事課の加藤和恵氏も、患者さんを待たせることがなくなった点を、メリットとして挙げています。
  オーダリングシステムの導入に伴い業務フローが大幅に変わった検査室では、稼働当初は苦労がありました。田中淳副主任は、紙の伝票を用いていたときと比べ、入力作業などにより業務量が増えたと指摘しています。一方で、オーダ時の検査項目の誤りが一掃されるなどのメリットを挙げ、今後運用を見直していくことによって、業務負担はさらに減ると予想しています。同様に、業務内容に大きな変化があった薬局では業務の迅速化が進んだ点を、牧野篤薬剤師は評価しています。処方が入力されてから5分以内に調剤が終わってしまうことも多く、病棟から看護師やクラークが薬を受け取りにくるころには、薬をそろえておくことが可能になりました。


病棟看護業務の効率化で患者さんのケアも充実

  病棟での看護業務も、オーダリングシステムの導入によって変化しました。富田洋子部長は、看護業務の内容を整理し、責任の範囲を明確化する良い機会となったと考えています。また、尊田あずさ次長は、看護師による伝票の転記の必要がなくなったことで、手間が省けミスもなくなったことをメリットに挙げています。手書きの際にあった読み間違いや、指示の確認のための問い合わせなどがなくなり、加えて紙の伝票を運搬する作業がなくなったことで、業務の効率化が実現し、患者さんへのケアに使える時間が増えています。さらに、手元にカルテがなくても、オーダリングシステム端末さえあれば、どこでも画面上で指示の確認ができるようになりました。


病棟でのHOPE/EGMAIN-NX の運用の様子。モニタ上で、指示内容を確認でき、紙の指示伝票よりも判読しやすくなり、医療安全の面からも成果が出ています。

  それに加え、新家節子次長は、在院日数や患者数などのデータが簡単に集計できることから、病床管理の面でも導入効果が上がっていることを評価しています。
  デメリットとしては、手書き伝票のように、オーダのキャンセルなど従来は電話連絡で行っていたことを、端末で操作をしなければならなくなったことが挙げられています。



将来の展望

外部とのシステム連携も視野に段階的にシステムを強化

  「現状は、あくまでも次のステップのための一段階。できるだけ早く次の目標に進みたいと思います」と言う田中院長。ノートパソコン型の端末を使った無線LAN運用を試験的に導入しているという岡本副院長も、「情報をユビキタスな環境でやりとりしたり、将来的にはほかの病院や医師会の先生方とも共有できるようになれば良いと思います」と期待を述べています。
  200床規模のケアミックス型病院として、初期投資からステップアップする方針でIT化を進めてきた西尾病院。現在、注射オーダと放射線科の部門システムを導入し、PACSを運用する計画もあります。さらに、将来は、電子カルテシステムに拡張し、関連の介護施設とデータ連携することを目標にしています。それをめざし、同院では今後もIT化への取り組みを強化していきます。


  



西尾病院のHOPE/EGMAIN-NXシステム構成図
HOPE/EGMAIN-NXシステム構成図
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施設概要

医療法人田中会  西尾病院

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