規制緩和に伴う外資の参入や薬価の引き下げなど、医薬品メーカーを取り巻く経営環境は一段と厳しさを増している。また、画期的新薬の創出が大いに期待されるゲノム創薬が本格化する一方で、医薬品の研究開発コストは高騰しており、R&D関連の先行投資に対する収益回収のリスクは高まっている。
そこで田辺製薬では、「新薬開発の効率化とスピードアップを図るため、欧米の製薬企業との協業を積極的に進めています。つまり、製薬における上流から下流にいたるすべてを自社だけでカバーするのではなく、他社との適切なアライアンスも織り交ぜて競争力を確保していく方針です」と情報システム部 情報推進課長の文元 薫氏は語る。とくに事務・管理分野は競争領域とせず、むしろ各社が相互協力できる分野にしようという雰囲気が医薬品メーカー間にはあり、田辺製薬もこれに賛同し積極的な情報共有に努めている。
田辺製薬では2000年4月に、業務改革の一環として基幹業務システムの再構築プロジェクトをスタートさせた。当時の状況を、情報システム部 情報推進課の村山浩之氏は次のように説明する。「従来のシステムは会計や購買などの業務ごとに個別に開発し、メインフレーム上でバッチ連携させていました。稼働後約20年が経ち、経費を抑えつつ保守作業にあたるのが精一杯で、社内のユーザーから『こんな機能を追加して欲しい』という要望があっても、それに十分応えられる余裕はほとんどありませんでした」。
そこで同社では、ERPを適用し基幹業務システムを再構築することを決断。「20年来のシステムを更新することに反対する声もありましたが、トップの『本質的に目指すべきは業務改革の推進である』という確固たるメッセージを受け、情報システム部門だけでなく各業務部門のリーダーたちによるプロジェクトチームが早々に結成されました。
ERPツールの選択については、GMP(Good Manufacturing Practice)と呼ばれる医薬品に関する厳格な製造管理・品質管理基準への対応が必須となるため、SAP R/3ならば既に同業他社が先行して導入した事例もあり、業界内で情報を得られるという面で安心感がありました」と文元氏は振り返る。
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