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田辺製薬は、プロジェクトにおけるパートナー選定には慎重を期した。製薬会社に対するSAP R/3のSI経験を蓄積していた日本総合研究所を統括パートナーに選ぶと同時に、メインフレーム時代からの信頼関係とITベンダーとしての総合力を評価し、BASIS/プラットフォームパートナーには富士通を指名した。 情報システム部 情報推進課の高田 裕至氏は「製品は他社からOEM調達してSIに集中するベンダーもありますが、富士通は自社製ハード開発にこだわるメーカーです。インフラ部分でトラブルが起きても、富士通なら何とかしてくれるだろうという安心感がありました」と語る。 サーバ選定については、「新システムのプラットフォームは信頼性を確保するためにUNIXサーバと決めていましたが、富士通の『PRIMEPOWER』は当時、最新ゆえに出荷・稼働実績が乏しい段階でした。そこで、PRIMEPOWERの製造拠点である沼津工場(当時)を訪ね、設計思想や品質保証について直接質疑しました。富士通からはSAP R/3、Solarisオペレーティング環境、OracleデータベースおよびEMC社製ストレージ装置を組み合わせたシステム検証試験の申し入れがあり、納得して任せることができました」(高田氏)と説明する。
田辺製薬では、まず2001年4月にSAP R/3の人事モジュールを、続いて2002年4月に会計・生産・購買モジュールを稼働させた。さらに1年後の2003年4月には販売・物流モジュールを稼働させ、新基幹業務システムの構築を完了する予定である。 2002年4月のシステム移行にあたっては、事前に製品を作り置きし、製造ラインを3週間停止するという離れ業をやってのけた。「確実に移行した方が無用なコストを削減できますし、その期間を利用して本番環境でユーザー教育を徹底できるというメリットもありました」と文元氏は説明する。 移行から6ヵ月、インフラは順調に稼働しており、オンラインのレスポンス性能も良好だという。「万一に備えて切替え用のシステムも待機させていますが、今のところ出番はありません」(高田氏)。 業務面では、既に月次決算の早期化や経理部門の統合などの効果が現れている一方で、「忙しくなった」「使いづらくなった」という声も一部であがっている。それについて文元氏は「社内に対しては、『新システムの総合評価は1年後にレポートします。それまでは多少不満があっても我慢して使ってください』と説得しています。今回のプロジェクトは費用や納期の面ではうまくいきましたが、SAP R/3の導入効果について最終結論が出るまでには、もう少し時間がかかると思っています」と冷静である。 SAP R/3をベースとした田辺製薬の新基幹業務システムは、本社に程近い日本総合研究所のアウトソーシングセンターに運用委託されている。「情報システム部門への期待は変化しています。今は会社のシステムを棚卸しし、メインフレームを終息させている段階です。これをできるだけ早く決着し、システム運用・保守の作業から離れていかないと、情報システム部門は企画・戦略部門へと変身できません」と文元氏は決意を語る。 さらに「田辺製薬は今後、自ら行うべき分野とそうでない分野を峻別し、後者は外部の企業に委託していくことになります。その意味で、守備範囲が広くポテンシャルの高いパートナーである富士通とは永くお付き合いしていければ、と考えています。今後もITで田辺製薬を一層盛り立ててくれるような提案を期待しています」(文元氏)と続けた。
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